第6回目となるおねえさまのゲームレビュー。今回はSCE様から発売されたPS2専用ソフト「ルール・オブ・ローズ」のご紹介。パッケージから既に滲み出ておりますが、とても一筋縄ではいかなそうなホラーゲーム。ちゃんとレビューできるかどうか心配でなりませんわ。
あらすじ
人里離れた道を走るバスに乗っていた主人公・ジェニファー。そのバスに同乗していた謎の少年に導かれるようにとある屋敷を訪れたジェニファーは、何者かによって捕まってしまいます。ジェニファーが目を覚ますと、そこはクレヨン貴族と呼ばれる子供たちが支配している社交界。毎月社交界へ指定の貢ぎ物を持ってこなければ命はないと脅されたジェニファーは、訳も分からず目的の物を探すために館内を探索。そんなジェニファーの邪魔をするかのように現れたのは、恐ろしい妖精さんだったのです。 ―おねえさま談―
特徴
この作品は味方キャラとしてブラウンという犬がお供になります。犬と云えば、以前お伝えした「デメント」も同様でしたけど、今作は違う役割を持っております。ブラウンの仕事は主に隠されたアイテム探索。手持ちのアイテムの匂いを辿り、次々と新しいアイテムを探してくれる発掘屋なのです。探すアイテムは消費物から重要物まで幅広く、プレイヤーはブラウンの力を借りて攻略していくことになります。
ストーリー 評価
物語はクレヨン貴族との交流がメインですわ。どうしてジェニファーがこんなことに巻き込まれたのか…という謎から始まり、各章毎に内容が追加されていく絵本の謎や、ジェニファーが他の子供たちから嫌われるそれぞれの理由、そもそも社交界とは何なのか、など何故?どうして?と謎ばかりが増えていきます。また、物語の演出も複雑で、1週目では物語の全体像を把握することすらままならないかもしれません。ところがこの作品、あらゆる謎をプレイヤーに投げかけておいて、物語の真意…答えが明確に表現されていないのが最大のポイント。
ゲームを攻略していくと、所々に物語の真相を掴む伏線がちらほらと隠されているのですけど、進行上これらの伏線をハッキリさせる場面が存在しないため、結局はプレイヤー自身による推測、補完で消化していくしかないのです。開発陣の思惑は定かではありませんけど、おねえさまとしては匂わせる程度のヒントだけを出し、後はそれぞれが考え結論を出して、というスタンスなのかなと解釈しておりますわ。
とはいえ、謎を解く鍵は一応用意されておりますから、推理する余地はあります。おねえさまも三週ほどプレイしてストーリーを考えましたけど、何となく…こんな感じかしら?という理解度まで達することは出来ました。自分なりに真相を考える時間は楽しかったですし、考えようと思うだけの興味深いストーリー構成だったのは高評価です。
ただ、先ほどから述べているとおり、ハッキリと答えが提示される内容ではありませんから、あやふやに終わらせられることが嫌いな方にとっては、とんでもないストーリーだと思います。よって、評価が分かれる内容であるということは否めませんわね。
操作性・システム 評価
気になった点を挙げますと、カメラアングル周りはもう少し気の利いた調整をしてもらいたかったわ。例えば狭い部屋などに入ると、カメラ視点が目まぐるしく変わるため、非常に操作しづらい状況に遭いました。また、部屋に入った際に違和感を覚える…といいましょうか、意表を突かれるようなカメラアングルになっている時があります。特に敵が出現する時間帯だとこれが足を引っ張り、迅速に行動できなかったために攻撃を受けたこともしばしばありましたわ。
本作の重要な要素であるブラウンのアイテム探索も、少々使い勝手が宜しくありません。ブラウンにアイテムを探索させるには、一度アイテムを登録してから△ボタンで行動させる…というものなのですが、登録する度にメニューを開かなくてはいけないため、どうも手間がかかります。探索できるアイテムがたくさん用意されているだけに、メニュー画面を経由せず、ボタン一つで登録アイテムを切り替えることができれば相当快適にプレイできたはずね。
そのアイテム探索というアイディア自体も、次第にマンネリ化してしまうのが残念だわ。重要アイテムを探索させているだけで攻略できるというのは、攻略に詰まることがないと思えば嬉しい機能です。ただ、その他の消費アイテムも探そうとすると、ブラウンの後を追ってフロアを何度も行ったり来たりするので段々煩わしく感じてきます。また、アイテムによって匂いを感知できる距離が異なっているため、ある程度場所をかえては一通り探索を開始させる必要があり、基本的に同じ舞台であるにも関わらず各章によって落ちているアイテムが異なるせいで、何度もこれを繰り返さなければいけない、という作業感がひしひしと溜まる内容です。要するに、非常に面倒くさいシステムなのよね。
そして、最大の欠陥はロード時間。次のフロアへ移る時のロード時間は大抵6,7秒なのですけど、敵が出現する時間帯になると、これが10秒以上に増えてしまいます。このゲームは、ただでさえアイテム探索のために部屋の移動が激しい内容だというのに、こうもロード時間が長くては集中力が保ちません。ロード時間が多い中、何個もあるアイテムを探す作業は非常に退屈であり、ロード時間さえ何とか収まればここまで不満は溜まらなかったと思いますわ。
思い当たる箇所をいくつか挙げてみましたが、操作性・ゲーム性は悪いと評して問題ないかと存じます。ストレスが溜まることはあっても、快適だわと思ったことはほとんどありませんでしたから。
恐怖演出 評価
恐怖度は貫禄のゼロです。要因はいくつもあるわ。
まず敵のビジュアルが怖くありません。魚やヤギや豚といったモデルがハッキリと分かるビジュアルで、擬人化されているというよりは、そのまま手足が生えて二足歩行をしているといった印象。この辺りは、絵本のおとぎ話に出てくる感じは出せているとは思いますが。
次に舞台が怖くありません。探索する舞台は基本的に飛行船の中。内装は至って普通で照明も明るく、特に息の詰まるような感じではありません。つまり雰囲気が怖くないということね。
何かに追い詰められるような緊迫感もありませんし、命の危機にさらされることもありません。それからブラウンが常に傍にいることや、割と他のキャラと接触する機会が多いため孤独感を感じることもない。何よりこれは純粋なホラーゲームではありません。…これを云ってはおしまいかしら?
このゲームは恐怖を楽しむと云うよりは、近代イギリス特有の雰囲気を感じ…ストーリーの展開、謎解きを楽しむことに重きを置かれているゲームですから、ホラーを感じなくても仕方がないといえばないのかしら?よって、ホラー特有のスリルやハラハラ感が味わいたい人にはオススメできません。間違ってもプレイしてはいけませんわ。
難易度 評価
ソニー製らしく高めです。まずは敵との戦闘ですが、基本的に倒してもマップを切り替えると復活する仕様となっており、敵を全滅させればとりあえず安全地帯確保、ということがないタイプ。出現する敵の数も多く、狭い通路などをよく行き来するため、慣れないうちは無傷で切り抜けるのが困難だと思います。おまけに無敵時間があまり用意されていないおかげで、敵に囲まれると為す術無く大ダメージを受けることが多々あるのが困りもの。
敵を倒すメリットがほとんどない今作では、なるべく戦闘を避け、どうしても戦わなければいけないときは敵をうまく分断するように誘導し、各個撃破していくという慎重な立ち回りが要求されますわ。
武器は近接用がほとんどで攻撃範囲も狭く、こちらも慣れないうちは思うようにダメージを与えられません。また、回復アイテムも数こそ多いのですけど、効果の低いアイテムばかりが集まるので無計画に使っていくと大変なことになってしまいます。
そして最大の山場とも云えるのが、序盤から中盤にかけて現れるボス。攻撃力が高く体力もあり、隙の少ない動きで迫ってくるため、おおよそ序盤の強さとは思えない力をみせます。また、この時期は操作に完全になれていない、回復アイテムが豊富に集まっていない時期ですから、アクションが苦手な方には最悪クリアできない関門となる可能性もあるのではないかしら?勿論、慎重に戦えば倒せない相手ではありませんので、何度も挑戦してコツ掴みながら倒すことはできますわ。ただ、アクションが苦手な方にそこまでの根気があるかどうかですけど。
しかし、そんな気難しい戦闘とは裏腹に、ゲームを進行していく為の謎解き要素はお手軽。基本的にはブラウンに重要アイテムの匂いを辿らせ、入手したアイテムの匂いをまた辿らせ…を繰り返していけば解決していきます。自ら知恵を絞って考えたり、あちこち調べ回る必要が少ないのはホラーゲームの中ではとても親切な設計。純粋な攻略に関しては、何ら問題ないと言っていいでしょう。
音楽 評価
弦楽器をメインとしたゴシック音楽のオンパレード。聞いているだけで近代イギリスを彷彿とさせる非常に分かりやすい音楽が響き、雰囲気作りに関しては徹底していると思います。おねえさまの感想としては、とても雰囲気は伝わりましたし、作品の色を感じられました。ただ、ゲーム中に流れる音楽を聴いていると、どれも同じような音楽に聞こえてしまい、大して印象に残るものはありませんでした。
しかしです。メインテーマだけは逸脱でした。ピアノによる美しく流れるような旋律は、大変優雅で可憐です。でも、どこか哀愁漂うその曲調は一番「ルール・オブ・ローズ」を表している音楽だと思いました。また、この曲はEDでも流れるのですが、非常に心に響きます。次々と真相が明らかになっていくEDでこの曲を聴いていると、何とも云えない気持ちにさせられてすごく悲しくなりました。
“名ゲームに名曲あり”…全てが全てそうだったわけではありませんが、メインテーマだけでこのゲームの音楽は評価に値する傑作と云って問題ないでしょう。
総括
このゲームの魅力は、やはり複雑怪奇なストーリーの謎にあると思うわ。普通のホラーゲームと比べて、登場人物と交流する機会が多いですから、キャラクターにどれほど関心が持てるかというハードルがありますけど、おねえさまとしては皆それぞれ個性があって興味深かったです。
そして、ジェニファーが忘れている大切なことを思い出すように、自分の記憶を辿っていくようなストーリー展開、時間軸を多少入れ替えてパズルのように魅せたストーリー展開は、謎を解こうとする気力を掻き立ててくれる魅力的な手法で、終盤になればなるほど真相に近づいていく様は、今まで溜まっていたうっぷんが次々晴れていくワクワク感がありました。
で、EDでは各キャラの描写や心の闇などが一気に紐解かれる内容となっておりますが、どれもこれも“なるほど…”と思える出来で、結局はみんな不幸な子だったのね…とホロリとくる一面も。特にジェニファーに唯一好意的な態度を取ってくれるウェンディーは、ある意味一番驚いた伏線を持っていた存在であり、一番面白い設定をもった存在でもあり、彼女のあの笑みを真っ直ぐ受け止められることが出来れば、どれだけ幸せなことだったのかと惜しまずにはいられない気持ちになりました。
しかし、そんなEDを見ても謎は募るばかり。だんだん種明かしのような演出が続き、あぁ…このままEDを見れば全ての点が一本の線となるのね…と思っていたら、まさかの大どんでん返しのような意味不明なワンシーンで終わりなのですから。謎が解けるどころか、増えました。
大体、結局ジェニファーってどうなったの?という疑問が解決しない時点で「何このEDは!?」と憤慨されてもおかしくありません。あのラストのワンシーンを思い出すだけで、思考停止に陥りそうよ。ゲーム性は大して誉めるところがない、本当にストーリーしか魅せるところがないゲーム。それでもおねえさまは、最後までプレイして良かったと思いました。そう思えるくらい非常に中身の濃いストーリーでしたから。
主人公の安否すら明確にされないエンディングを迎えるこのゲームを…あなたは挑戦する勇気があるかしらね?勇敢な方は是非ともプレイして、共に謎に満ちたストーリーの虜となりましょうか?